人間ドック・健診Q&A

基礎知識や施設選び・受診のコツ、検査結果の活かし方まで人間ドック・検診にまつわる、気になること、わからないことを集めました。

Q

基準値内なら、健康に問題なし?

毎年受けている健康診断の数値は変動があるものの、いつも基準値内です。基準値内であれば、健康には問題ないと考えてよいでしょうか

A基準値は病気の有無を判断する目安になる大切なものですが、それよりもさらに重要なものは、受けた人自身の長年にわたる検査結果です。この「個人の基準値」は、検査施設での基準値よりも重視すべき数値といえます。
例えば、今まで白血球数が4500前後だった人が、いきなり8500になった場合、どちらも基準値の範囲内ですが2倍近くに増加していますので、何らかの病気の可能性があります。
検査結果が本当に心配のないものかどうかは、その人のこれまでの検査結果と照らし合わせてみないとわかりません。
できれば毎回同じ施設で受けるのが理想ですが、遠方に引っ越したりして同じ施設で検査を受けられない場合は、過去の検査結果を持参してください。
受けるたびに結果がどんどん悪くなっていく場合は、基準値の範囲内でも要注意です。これは頭に入れておいてください。
Q

検査結果の信用性はどのくらい?

毎年健診を受けています。長年保管していた検査の結果表を見直すと、生活習慣は特に変わっていないのに、数値にバラつきがあります。年齢を重ねるごとに悪くなる、というわけでもなさそうですし、こうした健診の結果の信用度はどのくらい、と考えるのがよいのでしょうか

A昨年、一昨年と比べてどう変わったかを重視してください。例年の数値から大きくずれたら、何か変化が起こっていると考えるのが妥当です。
また、毎年、できるだけ同じ施設で受けることが望まれます。それによって施設にもデータが蓄積されますから、担当の医師なども、変化にいち早く気づくことができます。
最近では、こうした人の体の数値が、年齢とともに変化してくることや、男女差があることが明らかになってきています。今後は、こうした差を加味した基準値に改定されていく可能性もあります。
人の体のさまざまな数値は、健康であってもいつも一定ではありません。
血圧や体温などは、1日のうちでさまざまに変化します。前日の行動によって変化しますし、仕事の状態、心理状態で変わることもあります。昨年はコレステロール値が高過ぎて「要治療」だったのに、放置していたけれど、今年は下がって「異常なし」となった原因が、この変動だったということもあります。
さらに、検査には誤差や変動があります。測定方法や条件が変われば基準値が変わりますし、検査機関の分析装置や測定試薬が変わったときには分析誤差が出ます。採血や検体の保存・輸送のときの操作によっても、測定誤差を生むことがあります。
ある検査項目の同じ数値が、A病院では「基準内」と判定され、Bの病院では「高値」とか「要治療」などと判定されることがありますが、これもこうした理由によることが少なくないのです。
このように体の異常はなかなか数値ではとらえにくいのですが、続けて検査を受けて比較すれば、変化を見つけることができます。定期的に人間ドックを受けましょう、という理由も、そこにあるのです。
Q

腫瘍マーカー検査で異常がなければ絶対にがんではない?

がんが気になり、腫瘍マーカーの検査を受けようと思うのですが、腫瘍マーカー検査で異常がなければ、早期がんの可能性もないと考えていいのでしょうか?

A腫瘍マーカーの中で、早期発見に有効なのはPSA(前立腺がん)のみです。早期発見という意味では、従来の検診に勝るものではありません。腫瘍マーカー検査だけで「自分はがんではない」と決めつけると、早期発見できないことがあるので、しっかりと定期健診を受けることをおすすめします。問題のあるところについては再検査を受けたうえで、生活習慣を見直すようにして、自分の健康状態をしっかり把握しておきましょう。
Q

いつも尿検査だけひっかかるのですが…

健診を受けると、いつも尿検査だけひっかかります。でも、二次検査をすると「異常なし」です。どうしてこんなことが起こるのでしょうか?

A最近の尿検査に使用される試験紙の感度はかなり高いので、微量の成分も検出してしまいます。正しい判定を受けるためには、不純物の混入が一番少ないとされる「中間尿」の採尿を心がけましょう。
中間尿の採尿は次の手順で行います。


採尿する際には、始めに少量排尿し
次に検査用の中間尿を取る
採尿したらいったん止め、膀胱に残った尿はそのまま排泄する。

なお、月経中は採尿に血液が混じりやすいため、「血尿」の誤判定をまねきやすくなります。できれば、月経中を避けて健診を受けたいものです。
Q

医師から「様子をみましょう」といわれたが放置しても大丈夫?

人間ドックで軽い貧血が見つかりました。医師から「来年まで様子をみましょう」といわれましたが、放置しておいても大丈夫でしょうか?

A「様子をみる」という言葉は、医師にとって都合のよい表現なのですが、こんなふうに告げられると、不安になってしまう受診者も少なくありません。「様子をみる」と同じような表現に「経過をみる」という言葉もあります。
これらの言葉のウラには「自分の知識と臨床経験では、これ以上検査をしても治療をするべきかどうかの結論が出せない。費用と時間がもったいないので、放っておこう。来年、もう一度、見直しても手遅れになることはないだろう」といった意味が込められています。したがって、受診者もそれほど深刻に受け止めることはありません。また、途中で調子が悪くなったら、人間ドックの受診日を待つのではなく、速やかに医療機関を受診しましょう。